【 国際交流部レポート 『イベント産業はISO(国際標準化機構)で独立分野としてのステータスを獲得 世界のイベント産業の国際規格とガイダンスを議論する新たな専門委員会 ISO Technical Committee on Events(TC 354)が承認される』 日本イベント協会理事 国際交流部長 寺澤義親】

 

 UFI(国際見本市連盟)ISOでイベント産業の品質、安全、効率性に関する国際規格を開発する新たな専門委員会ISO Techinical Committee on Events(TC 354)の設置が承認されたと9月に公表した。TC354はフランスの標準化協会AFNOR(Association Francaise de Normalisation)が運営してUFIが業界窓口になる。

 この委員会(TC354)は学術会議、ビジネス展示会からスポーツ競技会、ライブエンターティンメントなどすべてのタイプとビジネス、学術、スポーツ、文化など異なる目的を持つ各種イベントを対象にサステナブルなイベントマネジメント規格を創設する、さらに専門用語、データ指標と測定,データマネジメント、危機マネジメント、健康、安全と保障、社会責任とレガシーのサステナビリティとアクセスビリティ、技術に関する標準化作業も行う。さらにTC354はイベントサステナビリティマネジメントシステム規格(ISO20121)を制定したISO Project Committee(PC250)の実績を踏まえてイベントマネジメントのサステナビリティに関する分科委員会(ISO/TC354/SC1)を設置している。

 これまでに19か国が参加しているが、TC354はイベント産業を重要なグローバルセクターとして認知する、さらに開催地、主催者、施設、サービスプロバイダー、参加者を含むイベントエコシステム全体にメリットをもたらす調和された国際規格を制定するうえで重要な一歩を示すことになる。

 展示会とコンベンションを含む世界のビジネスイベント業界は日本を含めて認知度向上が重要課題の一つになっている。例えば新型コロナ禍に対する政府支援では欧米諸国でもビジネスイベント業界は独立したセクターと認められずレジャーやホスピタリティ産業への支援があってもビジネスイベント業界がカバーされていないことがあった。豪州でもビジネスイベント業界は観光産業の小さなグループと見られる傾向があり世界の業界全体として経済効果と雇用効果をアピールして認知度向上に取り組んできている。こうした背景で今回ISOの中核的な役割を担う専門委員会で各種イベントを含め包括的にイベント産業をカバーする専門委員会が新たに認められたことは画期的である。業界を独立部門と認めてもらうように認知度向上に取り組んできたこれまでの努力の成果といえる。

 今回の決定について業界窓口になるUFI会長(2024~2025)Mr.Hugh Jonesは「これは我々の業界にとって歴史的な出来事である。これでイベントの国際規格を開発、調整するISO専門委員会を持つことになった。TC354は我々業界が持つ経済や産業成長の推進役だけでなく知識や専門性での重要な役割も認識している。業界関係者にはイベントと展示会産業の将来を規定する国際規格を今後とも磨きをかけていく取組に参加して欲しい」とコメント。 

 TC354の事務局を担うAFNORの標準化部門長のMr.Franck Lebeugleは「Paris2024でのイベントマネジメントに関する仕事からほぼ1年経過して、UFIが率先する多くの関係者との協働により我々がISO/TC354を引っ張っていくことになり光栄に思う。標準化はイベント産業が抱える多くの課題に対応するフレームワークを提供するだけでなく、イノベーション、アクセスビリティ、サステナビリティ、安全、利潤の調和を目指す業界期待に合致する重要な手段にもなる」とコメント。

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