国際部レポート 米国のB2B展示会リバウンドは続く ~2022年第2四半期~ CEIR(Center for Exhibition Indusry Research)のレポートから
国際部レポート
米国のB2B展示会リバウンドは続く ~2022年第2四半期~
CEIR(Center for Exhibition Indusry
Research)のレポートから
日本イベント協会 理事 寺澤義親
1.CEIRレポート(9/15)によるとB2B展示会の2022年第2四半期のキャンセル率は2.0%となり第1四半期の9.2%と比較しても一層改善されている。これはコロナ禍の影響が残る中でほぼ予定通りに展示会が開催されていることを示している。
図1: B2B展示会のキャンセル率の動向
2.展示会パフォーマンス指標のCEIR Total IndexとGDPはともに回復する連動性を維持。
GDP成長はプラスでCEIR Total Indexを上回っている。
米国経済は高インフレや利上げの影響で景気減速が懸念されているが2022年第2四半期のリアルGDP(インフレ調整済み)は2019年第2四半期比では3.8%成長と良好だったが、2022年第1四半期からは減少した。これは主に民間在庫投資の減少がさらに若干程度は政府支出と非住居固定投資の減少が影響している。
一方、過去2年間の経済成長を牽引した個人消費ではサービス支出が停滞していたが回復傾向を示している。2022年第2四半期の消費サービス支出は2019年第4四半期水準を超えてコロナ損失を取り戻すまでに回復した。
一方第2四半期のGDP成長率の前期比年率はマイナス0.6%で第1四半期の1.6%と2期連続のマイナス成長となったがこれを景気後退と見る向きは少なく、展示会産業へのネガティブ影響は見込まれないとしている。
図2:リアルGDPとCEIR総合指標の推移
3.展示会のパフォーマンスを示すCEIR総合指標(CEIR Index)と個別指標は引き続き改善しており展示会の強い回復を示している。
第2四半期に当初計画された展示会のうち0.6%は延期、1.9%がキャンセルされ97.5%が予定どおり開催されて延期されたものを除くキャンセル率は2.0%となった。
この結果キャンセルイベントを除くと第2四半期の総合指標は2019年同期比でマイナス24.0%になっている。
過去5四半期を通じて総合指標と個別指標は回復トレンドを示しているが今回は初めて来場者指標の回復が強くなった。来場者指標は全体をリードするものなのでこの指標の改善は業界にとっては良いサインとなっている。
開催されたイベントのうち10.5%は総合指標でコロナ前水準を超えており、一部の主催者は新しい展示会を打ち上げ、さらに既存の展示会を新たな場所で、又は開催時期を変えて開催している。
個別指標は2019年同期比で収入(売上)はマイナス26.3%、展示面積はマイナス23.8%、出展者はマイナス23.5%、来場者はマイナス22.4%となった。
図3:2022年第2四半期のCEIR総合指標(中止されたイベント除く、2019年第2四半期比)
4.CEIRのMs.Cathy Breden(CEO)も「2022年のオミクロンとその後の変異株の影響を受ける中でも、我々の業界は展示会を安全に開催し成功させてきている」さらに「CEIRのこれまでの調査結果でもB2B展示会復帰への意欲が確認されており、CEIRの四半期別指標の動向からも安全対策を講じて大規模展示会が開催されていることを示している。B2B展示会の回復は継続する」とコメントしている。
5.個別の展示会動向
1)IMTS(International
Manufacturing Technology Show)2022
世界3大工作機械展示会の一つのIMTSが9月12日~17日全米最大規模のマコ―ミックプレース(シカゴ)で4年ぶりに開催された。主催者(米国製造技術協会:AMT)によると参加登録者数は8万6000人越え、出展者数は1,816社を記録したが過去最大の来場者(12万9,415人)を記録した「IMTS2018」には届かなった。なおハノーバーメッセUSAも同時開催され今年で10年目になっている。会場はアデイティブ・マニュファクチャリング(AM)、品質保証、制御とCAD-CAMなど9エリアで構成されている。日本からも大手工作機械メーカーが出展。
ジェトロではIMTS出展の3社の中小企業を対象に会場でのバイヤー誘致、商談アレンジなどを支援。IMTS2018と比較すると今回は3Dプリンテイング技術など積層造形をカバーするAMメーカーの出展社数が2倍に増加している。
IMTS2022会場(ジェトロ撮影、ジェトロウェブサイトから)
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