国際部レポート「世界の展示会市場の動向について ~世界の展示会市場は2024年に2019年比で97%まで回復する~」
世界の展示会市場の動向について
~世界の展示会市場は2024年に2019年比で97%まで回復する~
日本イベント協会 理事 寺澤 義親
世界の展示会市場はUFI(国際見本市連盟)の景況感調査(UFI Global Exhibition Barometer,7/26/2022)によると2022年は2019年比の73%まで、2023年前半には87%まで回復すると見込まれていた。
UFIでは2023年初めにも新たな見通しを発表するが世界の主催企業トップ20などで展示会業界では名前が知られている調査・コンサル会社のAMRinternational(英国)が2024年までの市場回復の見通しを10月31日に発表したので紹介する。
*2022年は2019年比の72%に、2023年は87%に、そして2024年には97%まで回復する。
同社は1年前の2021年11月の見通しでは2022年は77%まで、2023年には96%まで回復すると見込んでいたが、オミクロン変異株や中国市場の動向等の影響で今回の回復見込みはそれを下回るものとなっている。そしてコロナ前の水準に戻るのが当初見込みよりほぼ1年遅れるとしているのがポイントだ。
同社の市場分析マネージャーは今回の発表に際して「コロナパンデミックの影響が続き、インフレとリセッションの懸念が続く中で、展示会は比較的強く回復すると見込まれる。一方コロナで市場が変化する中で多くの主催企業は自分たちのブランドイベントについて新たなビジョンを模索している。Face to faceイベントはコアとして残るが、一方で業界コミューニテイについてはこれまでのマインドセットを変えることが重要になるだろう」とコメント。
日本や米国では国内市場規模が大きいこともあり市場回復が順調だが、中国は政府のコロナ政策による影響で回復が大きく遅れているなど回復状況には違いがみられる。回復に関する各国・地域の主なポイントは以下の通り。
1)米国、英国、フランスは2024年までにはコロナ前の水準(2019年規模)の105%から110%まで回復すると見込まれる。インフレ傾向が続く中で成長は価格上昇に引っ張られる。
2)ブラジルとメキシコは量的回復とインフレ経済に牽引されて2024年までに2019年規模の105%まで強く回復すると見込まれる。
3)中国と香港は2024年までに2019年規模の90%まで回復すると見込まれるが、これも今後のコロナ感染と政府規制に影響されることになる。
4)世界の中ではロシアの回復が2024年までにコロナ前規模の70%と大幅に遅れると見込まれるが、これはウクライナへの軍事侵攻と国際社会の制裁が影響している。
注:ここでの世界市場は米国、中国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、ブラジル、中東湾岸諸国(GCC),ロシア、香港、トルコ、メキシコ、インド、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、マカオ、フイリピンの20カ国・地域で構成されている。
世界の展示会市場規模見通し(2017年~2024年)
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