【国際部レポート 世界の展示会市場の回復見込みとドイツの動向について 日本イベント協会 理事 寺澤義親】
～世界の展示会市場の回復見込み～
昨年11月に公表されたAMRinternationalレポート（10/31/2022)に続きUFIが景況感調査（UFI Global Exhibition Barometer）に基づき世界の展示会市場回復見込みを1月31日に発表。56カ国・地域から367社(日本からは9社)の回答を分析した結果になっている。
１．展示会市場の回復見込み
展示会市場は2022年9月から回復を強め2023年の3月からは世界平均でも全体の約80% がノーマル水準(2019年）に戻るとしている。2023年前半で回復度が高いのはブラジル(98％),トルコと米国(95%), 英国（90%),イタリアとタイ（88%),スペインとUAE(85%)。一方回復が遅れている中国は29%となっている。
2. 売上と操業利益の2019年比は
売上を中国を除く世界平均で見ると世界の展示会市場は2022年は2019年の77％まで回復、2023年は91％まで回復すると見込んでいる。
一方、操業利益を見ると2022年はおよそ半分の企業が2019年比プラスマイナス10%の安定ゾーン以上の実績を、そのうち24％は10%以上の増加を見込んでいる。2023年はおよそ7割の企業が安定ゾーン以上の、うち31%が10%以上の増加を見込んでいる。
～ドイツの展示会動向～
世界で開催されるトップクラスの国際展示会のうち3分の2が開催されるドイツの最新動向についてAUMA(ドイツ産業見本市委員会）が2月15日、2022年の結果速報と2023年の見込みについて発表した。そのポイントを紹介する。
１．2023年は昨秋からの回復で力強くスタート
2023年1月以降すでに50件以上の展示会が開催され3月末までに60件以上の展示会が計画されている。この中にはITB(ベルリン）、Ambiente＆ISH(フランクフルト)、IDS(ケルン）が含まれる。今年は少なくとも340件の展示会が開催されコロナ発生後では初めて通常の1年になると期待されている。
最初の第1四半期だけで110件以上の展示会が開催されるが昨年同期には僅か18件の展示会しか開催できなかったことを比べると業界が急速に回復しているのがわかる。
2023年の注目すべき展示会としてはBiofach(ニュルンベルク）、Anuga(ケルン）、Bau(ミュンヘン)、Book Fair(ライプチッヒ）、Hannover Messe&Agritechnica(ハノーバー）、Medica（デユッセルドルフ）等がある。
２．2022年は秋以降に回復が強まりコロナ前の実績と比較すると来場者は約65％に、出展企業は70％に達する水準まで戻った。
2022年はモビリテイ、エネルギー、医薬分野で24件の新しい展示会が企画され、展示面積は550万㎡を超え、来場者が720万を越えて出展企業は142,000社となった。
このうちAUMAカテゴリーの国際展示会と全国レベルの展示会は約170件開催されてその展示面積は490万㎡、来場者では530万人、出展企業は120,000社を記録した。
来場者のうち海外からはコロナ前と比較して微増の190万人となった。海外出展企業数はほぼ同じ水準の7万社だったが訪問者の国別構成は大きく変化している。
2019年には全体の30%を占めたアジアが2022年には19%以下に低下した、一方欧州は62％から72％に増えている。
さらに2020年初めからの展示会禁止、展示会の延期や中止による経済損失は大きく600億ユーロ以上の損失と約100億ユーロの税収損失をもたらした。
2019年には280億ユーロもあった展示会の経済効果は2022年には140億ユーロを下回る水準にまで減少している。
今回の発表に際してAUMAのManaging Director Mr.Jorn Holtmeierは：
「2022年は秋以降の回復で世界中の企業が再びドイツに集まってくるようになった。依然として不確実性は続いてるが、トップクラスの展示会は平均以上に出展社と来場者を記録している。旅行と宿泊コストは急速に上昇しているが企業は新規の顧客と販売チﾔネルを獲得するには展示会が最適な場所だと認識できるようになっている。
我々は連邦政府にトップクラスの国際展示会の3分の2が開催されるドイツのポジションを強化するように要請している。
例えばインド、トルコ、中国からの潜在的な展示会参加者が会期に間に合うタイミングで展示会ビザの取得ができずにドイツ入国が難しくなっている状況の対応も含まれる」とコメントしている。
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