【国際部レポート 米国のB2B展示会動向 2023年第1四半期も強い回復は続いている 日本イベント協会 理事 寺澤義親】
国際部レポート
米国のB2B展示会動向
2023年第1四半期も強い回復は続いている
日本イベント協会 理事 寺澤義親
１．B2B展示会のキヤンセル率は0.3％と大幅に減少
7月20日リリースされたCEIR（The Center for Exhibition Industry Research）のレポートによるとB2B展示会のパフｵーマンスは2023年第1四半期も強い回復は継続していると報告された。2023年第1四半期のキヤンセル率は0.3%まで大きく減少しており2021年第1四半期の90.1%、2022年第1四半期の8.9％と比較するとキヤンセル率が急激に改善していることを示している。これが展示会パフｵーマンスの総合指標（CEIR Total Index）を向上させている。
図１：B2B展示会のキヤンセル率の動向
2.展示会パフオーマンス総合指標のCEIR Total
Indexは2019年比で大きく改善されている
図３は2021年第1四半期から2023年第1四半期に開催された展示会のパフｵーマンスを2019年の各四半期と比較した結果を示している。これによると2023年第1四半期のCEIR Total Indexは2019年と比較してわずかマイナス11.7％となり過去8四半期で指標全体が改善して回復が継続していることを確認できる。これは2022年第1四半期のマイナス29.7%と比較しても大きく改善している。さらに開催された展示会のうち33.3％はコロナ前のCEIR Total Index水準を超えているが、これは2022年第1四半期にはコロナ前水準を上回った比率が全体の15.3％だったことからも回復が強くなっていることを確認できる。一部主催者は新規の展示会を打ち上げたり、既存展示会の開催場所や時期を変えて規模を拡大するのに成功している。
図３：総合指標の動向(2021年Q1から2023年Q1)
(キヤンセルされた展示会除く、2019年対比）
3.総合指標では来場者が大きく改善している
2023年第1四半期の総合指標では来場者が2019年第1四半期と比較してマイナス6.3％と回復が一番大きいい。次は順に展示面積(NSF)でマイナス10.3％、出展者はマイナス14.8%、売上(収入）はマイナス15.1％となっている。収入は回復が遅れているがこれは名目収入が依然低く高いインフレが所得価値を減少させているのが背景になっている。
図4:2023年第1四半期のCEIR総合指標
(キヤンセルされた展示会除く、2019年第1四半期比）
3.B2B展示会の回復は強いが完全な回復は2024年に
2023年第1四半期の結果を見てCEIRのチーフ・エコノミストDr.Allen Shawは「B2B展示会への強い参加意欲は継続しており展示会パフｵーマンスの改善は引き続き継続されるが、2023年後半から2024年前半まで展示会産業はチャレンジングな状況を迎えるだろう。何故なら今後経済はスローダウンして企業は警戒モードに入るから。今後海外からの参加者増加が来場者と出展者拡大を促すことになり業界が完全に回復すると期待されるのは2024年に入る」とコメント。
4. 2023年の米国展示会売上(収入）は2019年対比で93%まで回復する
～UFIの最新調査から～
7月19日にリリースされたUFIの展示会産業の景況感調査（UFI Global Exhibition
Barometer）結果によると世界の展示会開催状況は2023年後半には2019年水準の90%まで回復してほぼパンデミック前の水準に到達するとされている。さらに2023年売上(収入）は2019年の97％まで戻すと見込んでいる。31回目の調査には世界の61カ国・地域から351社が回答している。このうち米国は10社が回答しているが2023年売上(収入)は世界の回答企業の平均が2019年比97%までの回復を見込んでいるのに対して米国回答企業の平均は93％まで回復するとなっている。
5.個別展示会の動向
＊Summer Fancy Food Show:6月25日~27日、ジャービッツセンター、ニューヨーク
Speciality Food Associationが主催する北米最大規模級の高級食品展示会で今回は昨年より23%増加の展示面積300,000平方フイートに昨年の1,802社・団体を上回る2,200社・団体以上が出展。来場者も登録ベースで昨年比20%増加で30,000人以上となった。日本からはジェトロが35社が出展するジャパンパビリオンを設置。
写真はジェトロサイトから
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