国際部レポート 米国のB2B展示会動向 強い回復の中で業界は結束と地位向上を目指す取り組みを強化 日本イベント協会 理事 寺澤義親
1.B2B展示会のキヤンセル率は0.6%と大幅に減少
2023年9月5日発表のCEIRレポートによると米国B2B展示会は2023年第2四半期(Q2)も強い回復を継続している。
この期間のイベントリアル開催のキヤンセル率は0.6%と極端に低く前年同期の1.9 %と比較しても大きく改善しており実際に開催された展示会実績も継続して上向いてることが展示会パフオーマンスの総合指標(CEIR Total Index)の改善に繋がっている。
B2B展示会のキヤンセル率動向
2.総合指標のCEIR
Total Indexの回復モメンタムは継続
下図は2021年Q1から2023年Q2の期間に開催された展示会パフオーマンスを2019年の各四半期と比較している。これによると2023年Q2のCEIR Total Indexは2019年同期比で僅かマイナス13.3%で2022年同期のマイナス25.7%からは大幅に改善しており業界回復が定着していることを確認できる。
総合指標(CEIR Total Index)の動向
(2021年Q1から2023年Q2,キヤンセルされた展示会除く、2019 年対比)
3. 総合指標では出展者が改善、来場者は停滞している
2023年第2四半期の総合指標では出展者が2019年同期と比較してマイナス11.8%と他指標と比較して落ち込みが最小となり前期のマイナス14.8%から改善している。
マイナス幅が小さい順に見ると次は展示面積でマイナス12.5%、来場者はマイナス14.4%で前期のマイナス6.3%からは停滞している。収入はマイナス14.5%で前期より僅かに改善している。
2023年第2四半期のCEIR総合指標の内訳
(キヤンセルされた展示会除く、2019年第2四半期比)
4. 業界はコロナ禍からの回復と持続的な発展を目的に取り組みを強化
世界のビジネスイベント業界は業界地位向上と持続的発展の実現に向けた取り組みを強化しているが米国でも注目すべき動きとなっている。
まず2021年2月にビジネスイベント業界の持続的発展と業界地位向上を長期的に取り組むとことを目的に9業界団体で構成するExhibitions and Conferences Alliance(ECA)を立ち上げた。
これにはビジネスイベントの国際団体IAEEとUFI(国際見本市連盟)に主催企業、デザイナー・プロデユーサー、施工サービスプロバイダー、施設、労働組合の団体が参加。
創立当初から地元の市や州と連邦政府への支援要請と議員へのロビイーング活動に力を入れ成果を獲得しているが2024年1月には将来の労働力確保、脱炭素、良好な操業環境の確保、シームレスな国際旅行と通商発展など重点5分野に優先課題などを含めた年間活動方針を発表。引き続きワシントンと全米各地での活動を通じて業界の地位向上にも取り組んでいる。
さらに世界最大の展示会とイベント団体のIAEEは展示会業界エコシステムを維持強化するために労働力開発、サステナビリテイ、健康と安全の課題に取り組むとしてECAを含め主催者、施設、施工サービスプロバイダー、デザイナー・プロデユーサーの6団体によるExhibitions Industry Collective(EIC)を創設すると2024年1月10日に発表。
キックオフイベントとして2月にExhibitions Industry Awareness Weekをオンラインで開催することにしている。そこでは将来展示会業界でのキヤリアに関心を持つ人を対象に関連業界や参加団体の動向紹介、求職や給与等の情報提供を行う。一方新たにEIC公式サイトも立ち上げ業界のコンタクトポイント機能を持つことも計画している。
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