【 国際交流部レポート 『米国のB2B展示会動向 激動の時代にも成長は続いている』 日本イベント協会理事 国際交流部長 寺澤 義親】
世界最大のビジネスイベント市場を有する米国のB2B展示会の2024年第4四半期動向についてCEIR(The Center for Exhibition Industry Research)から3月24日に発表された。さらに四半期毎にトレードショウ実績をフォローするTrade Show Executive Dashboard情報と合わせて近況を紹介する。
1.2024年は業界の回復が続き第4四半期の総合指標は2019年同期比で95.6%に。
強い回復を示した前半2四半期から第3四半期にやや後退したが第4四半期は出展者と収入が好調で総合指標は第3四半期の89.3%から過去最高となった2019年実績に近い95.6%まで回復したのが注目される。
図1は2019年同期比で2022年から2024年の四半期別総合指標の推移を確認できるが新型コロナ後の回復が堅調に続いてることを示している。
2024年第4四半期のリアルイベントのキャンセル率は第3四半期に続き0.3%と低く2023年第4四半期の1.4%からは大きく改善されている。
図1:CEIR総合指標の推移(2022年~2024年、2019年を100とする)
2.出展者と収入はほぼ新型コロナ前水準にもどる
来場者の回復は遅れている
2024年第4四半期の総合指標内訳を図2から2019年同期と比較すると展示面積、出展者、来場者、収入いずれも2019年実績を下回るが出展者、収入はほぼ新型コロナ前の水準に戻っているが来場者の回復が一番遅れていることを確認できる。来場者の回復が遅れている背景としては図3を見ると従来からの消費者物価指数上昇でも示されるインフレ傾向に加えて昨年の11月以降の旅行価格指数の上昇がある。ここにも米国経済のインフレ、物価上昇、旅行価格上昇の影響を見ることができるので今後来場者がすぐに回復するとは考えにくい。
なお第4四半期の実績についてIAEEの代表Ms.Marsha Flanaganは「これら数字はB2B展示会の回復力が特に強いことと回復が続いていることを示している。展示会は不確実な経済状況の中でもビジネス交流と取引のプラットフォームとして引き続き価値あることを証明している」とコメントしている。
図2: CEIR総合指標2024年第4四半期内訳(2019年同期比)
図3: 消費者物価と旅行価格動向(前年比)
3. 2025年は急回復の小休止となるか
2025年も米国を代表するイベントのCES2025の1月開催でスタートを切った。主催者によると出展者数は前年比200社プラスの4,500社超え、来場者はメディア6,000人含め前年比11,000人プラスの141,000人超えとなった。出展者数は新型コロナ前と比較すると4,400社から増加したが来場者は増えたものの2020年の175,000人に及ばなかった。ここでも回復は継続しており出展者は戻っているが来場者の戻りが遅れていることを確認できる。
ではその後の状況はどうか。これについてはトレードショウの動向分析で評価されてるTrade Show Executive Dashboardレポートで見ることにする。第1四半期結果が5月13日に紹介されたが展示面積、出展者、来場者とも成長を示したが伸びは前期からダウン傾向になっていると報告されている。これはパンデミック後の急速な回復が小休止して新たな状態に入ったことを示しているのではと指摘している。
詳細を見ると第1四半期レポートには75件の展示会が分析されてるが53件の展示会で展示面積が増加となりうち16件は2桁成長となった。出展者は44件の展示会でプラスとなり19件の会議では2桁成長を示した。来場者を見ると43件の会議で増加となりうち12件は2桁成長。専門家の来場では35件の展示会でプラスとなりうち12件では2桁成長を示した。
図4:TSE 2025 Q1 Dashboard (2024Q4と2025Q1) 実績推移
|
2024年第4四半期 |
2025年第1四半期 |
展示面積 |
2.5% |
2.0% |
出展者 |
2.8% |
1.5% |
来場者(全体) |
0.7% |
1.2 % |
専門家来場 |
1.1% |
0.4% |
出所:Trade Show Executive(May13,2025)
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